乳がんの告白:言って欲しくなかった言葉、嬉しかった言葉

先日Facebookで乳がんの告白をしたところ、たくさんのコメントを頂きました。

どれもこれも本当に嬉しい言葉ばかりでした。もし私が逆の立場で友人から告白を受けたら。。なんと返してよいのかものすごく悩むと思いました。多分みなさんもそう。そんな中、メッセージを下さった方々にはその勇気と思いやりに本当に感謝です。

もし誰かから「自分はガンだ」という告白を受けたとしたら。。。相手との関係性や、患者さんの個性にもよるので正解、不正解はないのですが、私が感じたことをそのまま書こうと思います。

目次

言って欲しくなかった言葉

一番傷ついた言葉はこれ。

「トシなんだからどうせ進行遅いでしょ」

確かに50過ぎてますけど、この働き盛りでガンで亡くなる人結構いらっしゃいますよね?

言った本人に悪気はなく、「冗談に紛らわしてでも何か言わないと。。」と思った言葉がこれだったのだと思います。不器用な人なのだと思います。でもこれはね。。。

次はこれ。

乳がんで乳房全摘をすると再建手術をするという道があります。自家再建の場合、自分のお腹や背中などの組織を胸に移植することになります。当然、組織を切り取った後は傷になるし、痛みます。なんせ肉をえぐり取るわけですから。手術した胸も痛むことでしょう。

「再建とかも痛そうだし、怖いしね。。」という言葉に返ってきたチャット。

「私のお腹のお肉ならいっぱい余っているから、あげるよ~www」

本気で考えてくれているなら嬉しいですけど(笑)。本気で考えていないから言えることですよね。本当に私のためにお肉えぐってくれますか?心細い想いを打ち明けたつもりが、他人事感満載のギャグになって返ってきた。そんな感じに受け止めてしまいました。

要注意な言葉

ありがたい言葉なんだけれど、何かと敏感になっているガン患者にとってはもしかしたらしんどく受け止められてしまう。。。そんな言葉を書いてみます。

「ガンは食事から作られます。」

信頼している方からのこの言葉はありがたく受け止められるのですが、そこまで親しくない方からこれを言われるとちょっと反発を覚えてしまいます。食の大切さを教えてくれているのは分かります。でもこう言われると「あなたの食生活が悪かったからガンになった。」「あなたの責任です。」と言われているように感じてしまい、「あなたに何が分かるの?」と思ってしまいました。

「元気になって欲しいから食の大切さを伝えたいんです!」その気持ちが伝わっていれば大丈夫だと思います。でも「自分の何が悪かったのか。。」とつらく思っているガン患者にこれを言った場合、受け止める人によっては傷つく言葉になる可能性があると思います。

「早期発見で良かったね!医療は進んでるしガンは怖い病気じゃないよ!」

早期発見というと、悪いオデキをちょっと取ればそれでOKというイメージがあるかと思います。私もそう思っていました。

でも実際には早期発見でも乳房全摘やリンパ節の切除、転移の可能性もあります。そして乳がんの場合、5年、10年と投薬治療が続き、その間には何度も検査を受け続けます。

クスリの副反応がひどく、「再発しても良いからもう飲みたくない」と苦しむ人もいます。

3か月ごとの検診が怖くて、ひとりで病院に行けないという人もいます。

「早期発見」という言葉の軽さと現実の闘病の重さにかなりのギャップがあるのです。確かに「早期発見」は不幸中の幸いではあるものの、あっさりと「早期発見だから大丈夫。」とは軽々しく言えない現実があります。

それを知って頂けたら嬉しいです。

それにしても。。。

「大丈夫だよ」と言って欲しい。でも「大変さもわかって欲しい」。こんな相反する気持ちを持ったガン患者。なんてワガママで面倒くさいんでしょう。素直にごめんなさい、ですね。

嬉しかった言葉

言って欲しくなかった言葉を書きましたが、どんな言葉であっても、本気で心配し、いたわって下さっている方の言葉は伝わります。

Facebookのメッセージ欄や、その他ダイレクトメッセージでいろいろな言葉を頂きました。

「応援しているよ!」

「手術の成功とその後の回復を祈ってます!」

「その笑顔が戻るのを待っているよ!」

ひとりひとり顔を思い浮かべながら読みました。

精神腫瘍科(ガン患者専門の精神科)という科を立ち上げた埼玉医科大学の大西先生の講演を聞く機会がありました。大西先生によると、治療経過中のガン患者の半分以上に精神科診断がつくそうです。さらにガン患者の家族も30%がメンタルに疾患を抱えてしまうというデータもあるそうです。

ガンはそれくらいしんどい病だということなのでしょう。

幸いにも私はいろいろな方の応援やサポートを受け、今のところ日々穏やかに暮らせています。本当にありがたいです。

もし誰からガンを告白されたら

普段、元気な時だったら何も感じないであろう言葉にも傷ついたり、患者さんの心はなかなかセンシティブです。私自身もなんと言ってよいか、とても迷うと思います。

中途半端な知識での助言もされたくない。でも無視されるのもツライ。勝手ですが、そんなふうに感じてしまっている自分がいて、やっぱり何を言ったらよいのか難しいなぁと思います。

そんな時、どう言ってよいのか言葉を選ぶのは本当に難しいです。

でも、どんな言葉であっても、想いは伝わるのだなぁとも感じます。

「あなたを大切に思っている」

「心配しているし、応援している」

「乗り越えられる人であることを信じている」

「出来ることがあったら言って欲しい」

言ってくださった言葉の詳細は忘れても、その気持ちだけはダイレクトに伝わり、そして心に残ります。そしてそれが「自分は大丈夫。」「こんなに愛されている自分は幸せだ。」という想いにつながり、そして病と闘うパワーになります。

言われて傷ついたこと、嬉しかったこと。ガンになって初めて分かることもたくさんあります。だからこそ、人に伝えていこうと思います。

これからも時々、そんな気づいたことを書いていこうと思います。

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