友人が緩和ケアに入りました・・・

日本人のふたりにひとりがガンになる時代。

ガンを経験すると、ガン友が増えます。新たな友達が出来ることもありますが、古くからの友人がガンになることも。

私の身のまわりにも数人、ガン友がいます。

「ガンと診断されたけど、進行も遅いし、様子見でとりあえず手術も投薬もなし!」という方もいますし、「余命3年」と言われてその数か月後に亡くなってしまった方もいます。

私も手術から丸2年が経ちました。定期的なチェックは受け続けておりクスリも飲んでいますが、今のところは特に問題なしの状況です。まぁ先々のことは「神のみぞ知る」ですが。

目次

抗がん剤投与時に支えてくれた友人

前職の知り合いで、知り合ってからもう25年以上になる友人がいます。仮名ですが、Johnといいます。

韓国系カナダ人で、数式処理ソフトと呼ばれるソフトウェアの開発会社でエバンジェリスト(そのソフトを広めるための技術的支援、PRなどを担当)の仕事をしていた人です。

私の働いていた会社はそのソフトの国内独占販売権を持っており、私はそのソフトを扱うグループのマネージャでした。

Johnの両親は彼が子供の頃韓国からカナダへ移住したため、英語はあまり得意ではないそうです。

そんな両親と英語で話すことが多かった彼の英語はとても分かりやすく、彼とは言語の違いをまったく感じさせないほどスムーズに会話でき、「私って英語できるかも?!」的な気分にさせてくれた人でした。

彼はしばらくしてその会社を辞め、他の会社に移り、そしてその後、「カナダのマサチューセッツ工科大学」とも呼ばれるような大学で、工学部学部長のポジションを勤めるまでになりました。

そのポジションについて数か月後、彼のガン罹患が分かりました。

彼のFacebookを見てそれを知ったちょうどその時、私も乳がんの告知を受けたところでした。

彼のガンは乳がんではありませんでしたが、彼と私はちょうど同じような経緯をたどりました。

「転移もなさそうだし、とりあえずこの部位だけ取れば大丈夫そう」という感じで腫瘍除去手術。

が、開けてみたらリンパ節に転移が見つかり、そこから抗がん剤治療へという流れです。

彼はそれを私の2ヵ月ほど前に体験した感じ。

私が「抗がん剤治療を受けることになって怖い」といったことをチャットしたところ、彼は自分の抗がん剤闘病記録を私にシェアしてくれました。

毎日の体温、体重、副作用の状況(下痢、便秘、発熱、しびれ、味覚障害、発疹、・・等々)が逐一書かれていました。抗がん剤治療中って毎日、そして午前と午後でも体調が変わるのです。その記録でした。

「まったく同じじゃないと思うけどこんな感じだった!じゅんじゅんも多分大丈夫だよ」と。

その言葉に励まされて、私もしんどかった抗がん剤治療を乗り越えることが出来ました。

Johnには感謝しかありません。

肺への転移、そして。。。

手術、抗がん剤治療を無事に終えたものの、かなり体力が落ちてしまったJohn.

闘病中は大学を休職しておりその間は良かったのですが、復帰後、大学に戻った時には駐車場からオフィスに行くのもしんどい状況だったようです。

彼は学部長に就任したばかりのタイミングでガンが分かり、復帰はしたものの、その後結局退職を決めました。

口惜しかったろうなと思います。

でもそこからJohnは趣味のギターを弾いたり、YouTube動画にチャレンジしたり、人生を謳歌していました。

そしてまた1年後、彼の肺に転移が見つかります。

内視鏡を使った手術を受け、彼は肺の半分を切り取ることとなりました。

それでも元気いっぱいだったJohnなのですが。。

先日久しぶりのJohnのFacebookを見たら、肺だけでなく大腸にも、リンパにも転移が見つかり、ここからは緩和ケア(完治を目指さず、延命と、苦痛を減らし人生の質を上げるための治療)に入る旨の投稿がありました。

恐らく余命という話も出たのだと思います。

「余命ってやつは統計学だからね。僕は2年生で統計学の単位を落としている人だから、そんな統計学は信じないよ!」という文章が書かれていました。

そして彼はYouTube動画の中でも、今の心境を語ってくれていました。

初めて気づいたこと

そのメッセージを読み、動画を見て、私は今Johnにどう声をかけてよいのか迷っています。

ガンが分かり、手術をし、抗がん剤治療をしたところまでは同じ経緯だったのですが、そこから私はおかげさまで今のところは再発もなく元気に過ごしています。

そんな私から彼に何と言ったらいいのか。

「私は元気だよ。」ということも憚られるし、「大丈夫だよ。」というのもおこがましい。

「頑張って」なのかな。

でも何に頑張るんだろう。。。

ガンが見つかった時はもちろんショックだし衝撃なのですが、経験者の聞くと、最初に分かった時より「もう大丈夫」と思っていた時に再発が分かる、転移が分かる、こうしたときのほうがもっとショックが大きいそうです。

私はそれが怖くて、いつか再発がある、いつか転移があるのではと心のどこかで思っています。

もう治ったと思っていて再発するより、覚悟を決めていてそれを知ったほうがラクな気がして。

でもやっぱり心のどこかで「自分は大丈夫」と思っているところがあって、それが今回のJohnの経緯を知り、自分は本当は覚悟が出来ていなかったんだなということを突き付けられました。

人は必ず死ぬ。

早かれ遅かれ死ぬ。

それはわかっていて、そしてガンになったことで自分が死ぬことも肚落ちしたと思っていたけれど、でもまだ本当にはわかっていなかったんだなと感じました。

私は友人との飲み会が好きでビール、ワインも大好きです。

アルコールは良くないんだろうなと思いつつ、「この一杯飲んで数日寿命が縮んだとしても、今の楽しみを大事にしたほうがいい!ストレス抱えるより楽しくしたほうがいい!」とうそぶいていました。

でも今はやっぱりちょっと怖くなって。

やっぱり死ぬということへの恐怖は捨てきれないし、覚悟が出来ているわけではないんだなと気づきました。

今感じていること

今は半年に1度通院し、再発・転移がないことを確認しています。

で、ちょうど先週検査をし、昨日、その結果を聞きに行っていました。

万一を考えて怖くなりながら聞きましたが、幸いなことに再発も転移もなし。

血液検査の結果もすべて標準範囲内。

恐らく同年代の人よりよほど健康な数値だと思います。

ホッとしました。

その一方で、Johnに申し訳ないような気もしていたり、何か複雑な気持ちがよぎっています。

戦争で生き残った人が、「生きているのが申し訳ない」と話されるのを聞いたことがありますが、「そうか、こんな気持ちだったんだ。。」というのもはじめて少しわかった気がしました。

自分が健康で元気で、夫も子どももニャンコも元気で、父も生きていて。。という今の状況はいつか変わる日が来ます。

特に父はもうすぐ90歳の大台ですし。

今という時間がとてもとても貴重なものであることだけは、心の底から肚落ちしています。

家族にも仲間にもメンターさんにも友人にも恵まれ、本当にありがたい日々です。

ありがたいというのは「有難い」、あるのが貴重だという意味らしいです。

先のことを思い悩むのではなく、この有難い日々を楽しむべし!なんですよね。

Johnはまた明日から抗がん剤治療に入ります。

副作用が少なくて済みますように。楽しい時間が少しでもJohnに多く訪れますように。

今日は自分の気持ちの整理がしたくてこんなブログになりました。

暑い日が続いています。

これを読んでくださっているあなたも、どうぞご自愛ください!

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